はい、こんにちは。てんてけです。
前回の記事を読んでくださった方からリクエストをいただきました。
「カレーの芋が溶ける件について」
すみません一行で終わります
と一旦は逃げたものの、よく考えたらネタになりました。「なぜジャガイモが煮崩れを起こすかのメカニズムと、煮崩れさせないポイント」という視点に変えれば書ける、と。
では、一読のほどよろしくお願いします。
【ジャガイモはなぜ煮崩れるのか】
実は、科学的に解明されていました。
これは、ジャガイモという野菜(植物)の細胞の特性によるものです。
1.細胞壁が薄いから
ジャガイモの細胞壁は薄く、加熱により容易に破壊されてしまうため、煮崩れる。
2.デンプンが多いから
ジャガイモに多く含まれるデンプンが加熱によって糊化し(ノリ状になるということです)水分を含んで膨張するため、細胞壁が破壊されて煮崩れる。
3.水分が多いから
ジャガイモは水分が多いため、加熱によってその水分が放出されることで、細胞壁が破壊され煮崩れる。
以上が、ジャガイモが煮崩れるメカニズムです。まるで煮崩れるためにある野菜だということで一段落つきそうではあります。
しかし、共通事項に気がついた方がいらっしゃるかもしれません。
「細胞壁の破壊」というワードです。細胞壁の破壊が起きなければ、煮崩れを起こさない。…その通りです。
仮説1.細胞壁の破壊が起きづらい品種のジャガイモがあるのではないか
あります。しかもたくさん。
とうや、メークイン、インカのめざめ、インカのひとみ、ノーザンルビー、キタムラサキ、はるか、インカルージュ、シンシア、ピルカ、グラウンドペチカ(デストロイヤー)十勝こがね、ニシユタカなど
軽く調べただけでこんなに出てきました。
これは、おそらく日本人がいかにジャガイモの煮崩れに悩まされてきたかの戦いの歴史と、いかに煮崩れないジャガイモも作り出すかの品種改良の努力の結果と言えるでしょう。
しかも「など」なので、他にもある模様です。
ただ、メークイン以外の品種はあまり聞いたことがありませんので、普通のスーパーでお求めになる際はメークイン一択でしょう。インカのめざめは、よく名前を目にするので、もしかしたらあるかもしれませんが。
男爵いもも煮崩れしにくいとは言われていますが、筆者の経験だと煮崩れます。(ちなみに、料理は下手です)
仮説2.そもそも、細胞壁を破壊せずに加熱する方法が存在するのではないか
あります。
1.できるだけ表面積を少なめにする、具体的に言うと大きめの一口大のサイズに切る
表面積を少なくすることで、水分放出の際の細胞壁へのダメージを最小限にする。
2.塩を少々加え、塩分で表面の細胞壁を引き締める。
3.大さじ1の食酢を加えて煮る
これは、ジャガイモに含まれているペクチンを固めることで、煮崩れを防ぐ方法。
【では、カレーでジャガイモを溶かさないために】
一般的に「ジャガイモは別茹でにして、カレーが仕上がる頃に加える」とされます。
しかし、細胞壁を壊さない方法を使うことで煮崩れを防ぐことは、論理的には可能と言えます。
ただ、食酢を加えると酸っぱいカレーになってしまうので、野菜と肉を炒めて煮る時に、食塩少々を加えるのが妥当だと思われます。
そして火加減ですが、「早く煮えるように!!」と急激に沸騰させないようにして、ジャガイモに均等に火が通るように意識すると良いでしょう。
個人的には「別茹でして仕上げに加える」のが、最良の方法ではないかと思いますが…もし「別茹での段階で煮崩れて困る」という場合なら、食塩または食酢の方法がいいのではないでしょうか。
参考になったでしょうか。
カレーにジャガイモを入れると煮崩れるから、最初から入れないという方もいますし、「カレーにジャガイモ」は、なかなか難しい、ナイーブな問題だということを思い知らされました。
リクエストありがとうございました。