てんてけのちょっと役立つブログ

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水銀汚染?マグロの安全な食べ方とこれからできること

  1. マグロ料理の人気と魅力

 

皆さん。マグロはお好きですか。

 

マグロにアレルギーがある方もまれにはいらっしゃいますが、また生の魚に抵抗もある方もいらっしゃいますが、日本で最も好まれるのはやはり「寿司」でしょう!

アメリカでも「SUSHI」はヘルシーで美味な日本料理として親しまれています。また、他の国々でも、その国民性に合わせた寿司が創作され親しまれています。

 

特にマグロの寿司は、寿司の看板とも呼べる存在、寿司一つとっても、赤身の握り、トロも中トロや大トロなど種類がありますし、鉄火巻きやネギトロ巻き…また様々な創作寿司がありますから、これだけでは収まり切れません。

 

このように、マグロは、日本料理を代表する食材の一つです。寿司や刺身以外にも、カマの部分を焼いたり、様々な調理法で楽しまれています。

海外ではステーキなどにしても楽しまれているようです。

 

マグロの人気の秘密は、何と言ってもその味わいにあります。脂ののったトロと呼ばれる部位はとろけるような食感で、脂の甘味を楽しめますし、赤身の部位は引き締まった歯ごたえと独特の旨味があります。

それに、マグロは高タンパク・低カロリーで、DHAEPA などの健康に良い不飽和脂肪酸も豊富に含まれていますから、生魚を食べる習慣のなかった国々の人たちまでも、マグロ料理を楽しんでいます。



  1. マグロに潜む水銀汚染のリスク

 

しかし、その大人気のマグロですが、実は健康被害のリスクをはらんでいることをご存じですか。実は「水銀汚染」されている可能性が非常に高いのです。

 

マグロを含む大型魚は、水銀を体内に蓄積しやすく、これは食物連鎖のピラミッドの上位に位置するためです。マグロの主なエサは小魚類です。

まず、水銀を含んだプランクトンを小魚が食べます。そしてその小魚をマグロが食べます。つまり、マグロの体内には高濃度の水銀が蓄積されていくのです。しかも水銀は体外に放出されにくい物質ですから、体内に蓄積されやすくなります。こういった現象を「生物濃縮」といいます。

 

特に、クロマグロメバチマグロキハダマグロといった大型のマグロ類は、水銀蓄積量が高いとされています。寿命が長いので、その分たくさんの小魚を食べるからです。

部位別で見ると、内臓や血合い肉に水銀が多く含まれる傾向があります。

通常、食用にしている赤身やトロの部分には少ないとされていますが、全くないわけではありません。水銀は存在しています。これは留意しておきたいことです。



  1. 水銀が人体に与える影響

 

水銀は、人の健康に重大な影響を及ぼす可能性があります。特に問題となるのが、メチル水銀という有機水銀化合物です。

メチル水銀は、主に汚染された海域でプランクトンが育ち、それを小魚が食べ、さらにその小魚を餌にして「生物濃縮」を起こした大型魚を口にすることで、人間の体内に取り込まれます。

 

メチル水銀を長期間にわたって体内に取り込むと、手足のしびれ、視野狭窄聴覚障害言語障害など、深刻な神経症状を引き起こすことがあります。教科書にも必ず載っている公害病でもありますが、三大公害病のひとつで、いわゆる「水俣病」です。

 

水俣病には、慢性的なものの他に、先天性水俣病があります。

妊娠中の女性がメチル水銀を体内に取り込むと、胎児の脳の発達に悪影響を及ぼす可能性があります。

妊婦が体内に取り入れたメチル水銀胎盤を通して胎児に伝わってしまい、先天性水俣病を引き起こすのです。新生児に重度の脳性麻痺や知的障害が見られ、また手足への奇形も起きます。

 

「では、マグロは危ない魚…もう食べられない。怖い」

いえ、そんなことはありません。

次章で、安全にマグロを楽しむコツをご紹介します。



  1. マグロを安全に食べるための工夫

 

マグロという食文化は日本はもちろん、海外にとっても大切です。先ほどお伝えした通り、赤身やトロなどの一般的な可食部分は比較的水銀量が少ない傾向があります。そこで重要なのが、適切な摂取量と頻度を守ることです。

 

厚生労働省は、妊婦については魚介類の水銀を1週間当たり2.0μg/kg体重以下に抑えるよう推奨しています。これは、体重50kgの妊婦の場合、マグロなら1週間に80g程度が目安となります。

 

80gとは片手のひらに軽くのるくらいの量で、具体的に言うと切り身なら1切、刺身なら6~8切程度に相当します。寿司なら8貫くらいでしょうか、一般的な回転ずしなら4皿ですね。

しかも、これは1週間の目安です。たまに寿司を食べに行く程度なら全く問題はありません。安心してくださいね。

 

また、大型魚ほど水銀蓄積量が高い傾向にあるため、小型のマグロを選ぶのも一つの方法です。部位で言えば、内臓や血合い肉より、赤身やトロの部位を選ぶことで、さらに水銀の摂取量を減らせます。

マグロは一般的に天然ものがもてはやされていますが、実は養殖ものの方が水銀摂取のリスクが低いのです。意外かもしれませんね。

 

加えて、マグロ以外の魚介類もバランス良く食べることが大切です。マグロばかり食べ続けるような極端なことをしなければ、大きな問題にはなりにくいとされています。

大切なのは、バランスのとれた食事です。大型魚類など水銀汚染リスクの高い魚の食べ過ぎに注意しましょう。

日本は食のタブーがほとんどない、様々な食材が揃う珍しい国です。多彩な食材からメニューを選ぶようにしましょう。



  1. 水銀汚染を防ぐための取り組み

 

マグロの水銀汚染は、海洋環境の汚染が原因です。今に始まったことではないのです。

工場排水や火力発電などに由来する水銀が、河川や海に流れ込み、食物連鎖を通じて魚介類に蓄積されるのです。中でも食物連鎖のトップの大型魚にリスクが高いのは、先述の通りです。

先述の水俣病も、長年にわたるメチル水銀を含んだ工場排水が原因です。当時はなかなか原因がわからず、水俣周辺の住民は、知らないうちにメチル水銀を含んだ汚染された魚介類を、長年口にしていました。

 

この問題に対処するには、国際的な協力が不可欠です。2013年には「水銀に関する水俣条約」が採択され、水銀の供給、使用、排出、廃棄を規制する取り組みが進められています。もちろん、日本も加盟国の一つです。

 

わたしたちにできることも、もちろんあります。

無駄なエネルギーの使用は控えること。

水銀が使われたものは避けること。

もちろん一日二日ではありません。長い取り組みが必要です。

ですが、こうした小さなことの積み重ねが、未来の安全な海につながっていきます。

 

安全な海で取れた魚介類は、きっと今以上に美味しいはずですから!